« メタボリックシンドロームの原因は肥満でなく過食 | HOME | 肥満人口の増加、地球温暖化に寄与 »
2008年05月07日
メタボ健診 制度の欠点を改めてこそ
内臓脂肪型肥満(メタボリック症候群)に重点を置き、メタボ該当者やその予備群を洗い出して生活改善を促す特定健診・特定保健指導、いわゆる「メタボ健診」がスタートして1カ月が経過した。
基準値の妥当性、生活習慣病の予防策としての有効性など多くの異論を抱えたまま始まった新制度である。これまで健診の実施や運用過程で分かった問題は何か、足りない点はないか。健診が受診対象者から広く受け入れられ、健康を維持するための制度として定着させるにはきめ細かに検証していく姿勢が欠かせない。
糖尿病や心筋梗塞(こうそく)などを引き起こす恐れのある生活習慣病のリスクについては、一般にもよく知られるようになった。厚生労働省の試算によると、メタボ健診の対象者は約5700万人。2012年度には健診実施率を70%にし、指導対象と判断された人の45%に生活改善を促し、予備群と該当者を10%削減する。15年度に25%減らせば、25年度には医療費を2割抑制できる目算である。
机上の計算通りに運べば、それに越したことはない。だが課題は積み残されたままである。そもそも科学的な根拠となる基準値の採用をめぐっても、論争はまだ決着していないのである。85センチ以上と定めた男性の腹囲は、基準が厳しすぎるため中高年の半数が引っ掛かることになる。健診で新たな患者が生み出される結果、かえって医療費が膨らむといった批判が絶えない。
たとえやせていても糖尿病になることはある。腹回りが基準以下で糖尿病のリスクを抱えた人を見逃す危険はないか。そんな批判を受け、日本肥満学会など8学会が基準を再検討する方針を表明した。妥当な判断だ。
健診実施率や保健指導の成果が上がらない保険者に罰則を科す方針についても感心しない。国民の健康こそ本来、優先されるべきであって、医療費の抑制は付随的ととらえるのがまっとうな考えではないか。健康管理はすぐれて個々人に属する固有の領域だ。この視点もおろそかにしては困る。
