2008年10月22日
肥満の原因はドーパミン受容体
肥満の人は食べる喜びを感じる機能が欠乏しているため、満足感を得るために食べ過ぎている可能性があるとする研究結果が、16日発行の米科学誌「サイエンス(Science)」で発表された。
論文の主執筆者でテキサス大学オースティン校(University of Texas at Austin)の心理学研究者、エリック・スタイス(Eric Stice)博士によると、肥満の人々は喜びを感じさせる脳内物質であるドーパミン受容体が非肥満の人よりも少なく、非肥満の人と同等の喜びを感じるためには、食べ物や薬物など満足感を得られるものをより多く摂取する必要がある可能性があることが、研究で明らかになったという。
2008年10月17日
ダイエット歴が妊娠中の体重増加に関連
ダイエットや食事制限の経験のある女性は、妊娠中の体重増加量が多過ぎるか、あるいは少な過ぎたりすることが、米ノースカロライナ大学の新しい研究によって明らかにされた。
1,200人以上の女性を対象とした研究の結果、食事制限の経験があり、妊娠開始時に標準体重、過体重(overweight)、肥満(obese)であった女性では、体重増加量が推奨体重増加量よりも多い傾向が認められた。また、妊娠開始時に低体重であった女性の体重増加量は、推奨体重増加量よりも少なかった。
今回の研究は、米国医学研究所(IOM)が推奨する体重増加量に基づいて行われたもの。IOMでは、低体重の女性では28~40ポンド(約13~18kg)、標準体重の女性は25~35ポンド(約11~16kg)、過体重の女性は15~25ポンド(約7~11kg)、肥満の女性は15ポンド(約7kg)以下の体重増加が推奨されている。
研究共著者である同大学のAnna Maria Siega-Riz氏は、「過度の体重増加や帝王切開、巨人症、LGA児(在胎期間から予測される体重より著しく大きな出生体重の新生児)など有害な妊娠転帰、また通常よりも短い授乳期間や分娩後の高体重の持続を予防するため、妊娠中にこれらの女性への同様の栄養や身体面での活動指導は有用である」と述べている。
2008年10月11日
乳由来の多機能たんぱく「ラクトフェリン」に内臓脂肪の低減作用
ライオンは、京都府立医科大学の西野輔翼教授、京都市立病院の吉田俊秀教授、名古屋市立大学大学院医学研究科の飯郷正明客員教授らと共同で行った臨床試験により、牛乳や母乳に含まれるたんぱく質「ラクトフェリン」が人間の内臓脂肪を低減させる作用を持つことを確認した。
ラクトフェリンは、牛乳や母乳などに含まれるたんぱく質。抗菌作用や免疫作用をはじめとする様々な作用を持ち、乳児の健康を守っている。ライオンは、こうしたラクトフェリンの機能性のうち、特に歯周病予防作用に着目し、「研究の一環としてラクトフェリンを犬やマウスなどの動物にのませていたところ、特にマウスとラットで内臓脂肪の蓄積が明らかに少ないことに気がついた」(研究開発本部の村越倫明主任研究員)という。
マウスやラットは、胃の消化機能が弱く、食べたものを主に小腸で分解して体内に吸収する。ここにヒントを得たライオンは、ヒトがのんでも胃で分解されず、腸まで届くように皮膜でコーティングしたラクトフェリンの腸溶剤を開発し、これを用いて、20代以上の肥満傾向のある26人を対象に、二重盲検法にて、8週間の臨床試験を行った。結果、腸溶剤を1日300mgのませたグループは、のませなかったグループに比べ、内臓脂肪面積や腹囲、体重、BMIが有意に減ることを確認した。
ライオンでは、「ラクトフェリンがどのような経路で吸収・代謝され、脂肪細胞にどう作用するか、詳しいメカニズムを明らかにしていくのが今後の課題」(村越主任研究員)としている。今回の研究成果は、10月17~18日に大分市で行われる第29回日本肥満学会大会で発表の予定だ。
2008年10月08日
小児肥満の効果的な対処法、「絵本を読むこと」
年齢に適した「正しい本」を読むことが、子どもたちの肥満解消に役立つかもしれない―絵本の登場人物と自分を重ね合わせ、“やる気ある行動”を取るようになるのだという。このような傾向が、米デューク大学が進めた調査により明らかになった。
今回の調査を主導したのは、デューク大学医学部に在籍するアレクサンドラ C. ラッセルさん。既に包括的な減量プログラムの対象となっている肥満の女子児童たち(9-13歳)に子ども向け絵本『Lake Rescue(原題)』を読ませ、肥満度を測る体格指数(BMI)の変化を測定した。この絵本は、健康的な生活や体重管理などがテーマとして書かれているという。
半年後の再測定の際、この絵本を読んだ女児31人のBMI指数は平均で0.71%減少した。一方、この絵本を読まなかった女児14人では平均0.05%増だった。
調査結果を受け、「女児の健康的な生活に、書籍がよい効果をもたらすとの結果が示されたのは初めて」と説明するのは同学部のサラ C. アームストロング医師。肥満児を対象としたプログラム「Duke's Healthy Lifestyles Programme」のディレクターを務めている。
「子どもたちの参考になるような本を買ってあげるよう、小児科医として何度もご家族に勧めてきました。しかし、この助言を後押しするような調査はこれまでありませんでした」。
同大学のプレスリリースでは、肥満児をめぐる米疾病対策センター(CDC)の統計情報を引用。これによると、6-19歳の約16%が「太りすぎ」および「肥満」とされている。この数値は1980年当時に比べると約3倍の水準となっている。
現在主流となっている肥満の治療法について、副作用を伴う薬物投与や外科手術などに限られているとアームストロング医師は指摘する。「(今回の調査結果は)手軽に実行可能であり、対処法が少ない現状に一石を投じるものです」。
2008年10月03日
カロリーの摂り過ぎが脳を狂わせる可能性
過食は脳を混乱させてさまざまな損傷を引き起こし、糖尿病や心臓病その他の疾患の原因をつくる可能性があるとの研究結果が2日発表された。
米ウィスコンシン大マディソン校のドンシェン・カイ氏らが専門誌Cellに発表した内容によると、過食により、脳内で通常は休止状態にある免疫システムの経路が稼動し、実在しない侵入者を攻撃・破壊するため免疫細胞が送り出される可能性が判明した。
この発見は、肥満がなぜ他の多くの病気を引き起こすかの解明に役立つ可能性があるほか、肥満そのものの予防にもつながるかもしれないという。
